「訪問看護 やめとけ」で検索して、この記事にたどり着いたあなたへ。

たぶん今、訪問看護に興味はあるけれど、ネットで調べるほど不安になっている状態だと思います。「オンコールが地獄」「一人で判断するのが怖い」「思ったより稼げない」——そんな声を見て、手が止まっている。

先に正直に言います。「やめとけ」と言われる理由は、だいたい本当です。

私は助産師として周産期の現場に立ち、その後、病棟(急性期・回復期)、産業保健、健診などを経て、今は訪問看護師として働いています。この記事では、現役だからこそ言える「きつい」の中身を包み隠さず書いた上で、それでも私が訪問看護を選んだ理由と、「やめとけ」な職場を避ける具体的な方法をお伝えします。

読み終わる頃には、「自分は向いているのか、いないのか」を自分で判断できる状態になっているはずです。

訪問看護師の仕事道具——バッグ、聴診器、血圧計、タブレット


この記事でわかること

  • 「やめとけ」と言われる7つの理由の中身(オンコール・給与・事業所格差など)
  • 訪問看護に向いている人・向いていない人の特徴
  • 現役訪問看護師の実体験(初めてのオンコール出動、「いつもと違う」に気づいた日)
  • 「外れ事業所」を避ける求人票のチェックポイントと面接での質問
  • 助産師・保健師の資格が活きる、意外な訪問看護の選択肢

まずは30秒で全体像をつかみたい方へ、向き不向きの早見表です。

訪問看護の向き・不向き早見表——向いていない人と向いている人の比較

→ 詳しい判断軸は訪問看護師への転職完全ガイドでも解説しています。


結論:「やめとけ」は半分正しい。抜けているのは「誰にとって」か

「訪問看護はやめとけ」という言葉には、大事な主語が抜けています。

正確に言えば、「〇〇な人には、訪問看護はやめとけ」なんです。そして同じ理由が、別の人にとっては「病棟より働きやすい理由」に変わります。

たとえば「一人で訪問する」という特徴は、判断の責任を一人で背負う怖さでもあり、自分のペースでケアに集中できる自由でもある。どちらに感じるかは、あなたの性格と経験によって変わります。

だからこの記事では、「きつい理由」を否定せずに全部並べます。その上で、あなたがどちら側の人間かを判断する材料を渡します。

先ほどの早見表の根拠を、ここから一つずつ説明していきます。読みながら、自分がどちらの列に近いかを照らし合わせてみてください。

訪問看護が「やめとけ・きつい」と言われる7つの理由

理由1:オンコールの精神的負担が大きい

訪問看護の「きつい」で最初に挙がるのがオンコール(夜間・休日の電話待機)です。

読者 読者

オンコールって、やっぱり地獄なんですよね…?夜も気が休まらないイメージで、それだけで一歩踏み出せなくて。

とし とし

しんどい面はたしかにあります。でも「オンコールそのもの」より「体制が整っていない事業所」がきついんです。ここを分けて考えると、見え方がずいぶん変わりますよ。

きついのは、呼ばれる回数そのものより、「呼ばれるかもしれない」という緊張が続くこと。当番の夜は、お酒を控え、遠出を避け、スマホを枕元に置いて眠ります。実際には鳴らない夜も多いのですが、「鳴らなかった夜」も完全には休めていない——これがオンコールの正体です。

そして鳴ったら鳴ったで、電話越しの情報だけで「訪問すべきか、朝まで様子見で大丈夫か」を判断する必要があります。ここは経験を積むまで、正直しんどい部分です。

私の初めてのオンコール出動は、今でも忘れられません。入職して間もない頃、電話が鳴りました。相手は、リハビリでの介入が中心で、看護としての契約は終了していた利用者さん。つまり私は、その方がどんな方なのか、ほとんど分からないまま電話に出たんです。

電話口の声は呂律が回っておらず、何を話しているのか聞き取るのも難しい。かろうじて分かったのは「助けて、ベッドから落ちちゃう。落ちたら床から起き上がれない」という訴えでした。応援要請を出し、不安な気持ちを抱えたまま駆けつけました。

とし とし

結果は大事に至らず、どうやら飲酒されていた様子でした。ほっと力が抜けたのを覚えています。でも、この「情報が足りない相手の状態を、電話の声だけで判断しなければならない」緊張感こそがオンコールのリアル。無事だったから笑い話にできますが、電話を取った瞬間の心臓の音は、初めての人みんなが通る道だと思います。

数字の面でも、私のリアルをお伝えします。私の場合、オンコール当番は月に10回ほど。そのうち電話が鳴るのは1〜2回、実際に出動するのは月に1回あるかないかです。

そして、鳴らないのは偶然ではありません。「この方、状態が変わりそうだな」と日中の定期訪問で気づいたら、夜に電話が鳴る前に先に手を打っておく。そうやって夜間の出動を未然に減らす動きを、スタッフ全員でしています。オンコールのきつさは待機の回数だけで決まるのではなく、日中のチームの動きで変えられる——これも、現場に入って初めて知ったことでした。

💡 ここが分かれ目
オンコールの負担は、事業所によって天と地ほど差があります。「オンコールなし」「当番は月2回まで」という事業所も実在します。つまり「訪問看護がきつい」のではなく、「オンコール体制がきつい事業所がある」が正確です。

理由2:一人で訪問し、一人で判断する

病棟なら、迷ったときにすぐ先輩や医師に声をかけられます。訪問看護は、利用者さんの家に入ったら基本的に一人。「あれ、いつもと違う」と感じたときの一次判断は自分がします。

読者 読者

やっぱり、一人で判断するのが怖くて…。何か見逃したらと思うと、なかなか踏み出せません。

これが「やめとけ」と言われる最大の理由であり、病棟経験の浅い人が一番つまずくポイントです。フィジカルアセスメントの引き出しが少ないうちは、「見逃していたらどうしよう」という不安が常につきまといます。

とし とし

その不安は当然です。でも安心してください。電話やICTツールで管理者や医師にすぐ相談できる体制が普通にあり、「一人で完結しろ」という意味ではありません。実際の仕事は「一次判断を自分でして、報告・相談につなげる」こと。この違いを知らずに「全部一人で背負う」と思い込むと、必要以上に怖くなってしまいます。

私にも、忘れられない「いつもと違う」があります。定期訪問で伺った、ある利用者さん。前回の訪問記録と比べて明らかに呼吸の状態が悪く、SpO2(血液中の酸素の値)も低め。聴診すると空気の入りが悪く、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)も聞こえます。いつもは整っているお部屋が片付いていない。足のむくみも出てきている。それでもご本人は「大丈夫だよ、いつものこと」と笑うんです。

私はその場で上席と主治医に電話で報告しました。早めに対応できたおかげで入院には至らず、その方は住み慣れた家での療養を続けることができました。

本人は「大丈夫」と言っていても、体は別のサインを出している。 そこに気づいて、報告・相談へつなげる——これが「一次判断」の実際の姿です。一人で抱え込む仕事ではなく、気づきを次につなぐ仕事なんです。

読者 読者

「全部一人で背負う」んじゃなくて、気づいて報告するのが仕事なんですね。それなら、私にもできるかもしれません。

理由3:移動がきつい(夏の炎天下、冬の寒さ、雨の日)

意外と語られないのが移動の負担です。移動手段は車・自転車・公共交通機関など、担当エリアの広さや地域性によってステーションごとに違います。1日5〜7件を回るので、真夏は汗だくで玄関に立ち、真冬は手がかじかんだまま処置に入ることもあります。雨の日の自転車移動は、正直に言って修行です。

訪問先へ向かう電動自転車——住宅街の路地を走る

体力的な負担に加えて、運転や移動時間そのものがストレスになる人には向きません。逆に「移動中が良い気分転換になる」という人もいて、ここは完全に個人差が出ます。

💡 安全に移動できる方法を選ぼう

大切なのは「自分が安全に移動できる手段」を選ぶことです。

  • 車の運転や自転車に不安があるなら、勤務が始まる前に自主練習をしておくと安心
  • 運転がどうしても苦手なら、はじめから車移動のないステーションを選ぶ
  • 公共交通機関を使うエリアでは、乗り換え時間を事前に確認し、駆け込み乗車はしない

移動は毎日のこと。無理のない方法を選べる環境かどうかも、事業所を選ぶときに合わせて確認しておきましょう。

理由4:給与が「思ったほど」上がらないことがある

「訪問看護は給料が高い」と聞いて転職したのに、期待外れだった——という声もよくあります。

からくりはこうです。日本看護協会の「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」によると、フルタイム勤務の看護師の平均税込給与総額は、訪問看護ステーション勤務が約34.7万円、病院勤務が約38.2万円。病院勤務と比べて月3.5万円ほど低いのが実態です。ただし、基本給の差はわずか6,000円ほど。つまり差のほとんどは、夜勤手当をはじめとする「手当」の部分なんです(出典:日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書」)。

訪問看護師と病院勤務看護師の平均給与比較——差は月3.5万円ほどで中身はほぼ手当分

「訪問看護は給料が高い」という言葉は、日勤のみの働き方同士で比べれば正しいのですが、夜勤バリバリの病棟から移る人にとっては「下がるか、良くて横ばい」が現実的なライン。さらに、給与にオンコール手当やインセンティブ(訪問件数に応じた歩合)が含まれている場合、「基本給は思ったより低かった」となりがちです。

求人票の「月給35万円〜」だけを見て飛びつくと、この罠にはまります。

給与で必ず確認する3点
① 基本給はいくらか(「モデル給与」や総額に惑わされない)/② オンコール手当の単価/③ インセンティブ(歩合)の計算方法。この3点をセットで確認すれば、「月給◯万円」の本当の中身が見えてきます。

理由5:事業所の「当たり外れ」が病院より激しい

訪問看護ステーションは今、急増しています。全国訪問看護事業協会の調査では、2026年4月時点の稼働数は20,051ヶ所と、初めて2万ヶ所を突破して過去最多。一方で、直近の1年間だけで960ヶ所が廃止、328ヶ所が休止しています(出典:全国訪問看護事業協会「令和8年度 訪問看護ステーション数調査結果」)。毎年2,000ヶ所以上が新しくでき、1,000ヶ所以上が消えていく——この新陳代謝の激しさが、「当たり外れ」の正体です。

訪問看護ステーションは小規模な事業所が多く、管理者一人の考え方で職場環境がほぼ決まります。教育体制が整った大手もあれば、「初日から一人で回って」という無茶な事業所も実在します。

病院なら組織の仕組みがある程度カバーしてくれる部分が、訪問看護では「その事業所次第」。つまり「訪問看護はやめとけ」と言っている人の中には、「外れの事業所を引いた人」がかなり含まれています。これは訪問看護という働き方の問題ではなく、職場選びの問題です。

⚠️ こんな事業所は「外れ」かも
「初日から一人で訪問して」と言われる/教育・同行の期間がほぼない/設立間もなく極端に少人数/求人票のオンコール記載が曖昧。こうしたサインが複数重なる事業所は、慎重に見極めてください。

理由6:少人数ゆえに人間関係が濃い

厚生労働省の資料によると、訪問看護ステーションの約半数は従業員が常勤換算5人未満の小規模事業所です(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会資料「訪問看護(参考資料)」)。少人数の職場では、合わない人がいても逃げ場がありません。病棟のように「異動で環境が変わる」こともない。人間関係が良い事業所なら最高の環境ですが、こじれると病棟よりきつい——この振れ幅の大きさは覚悟しておくべきです。

読者 読者

少人数だと、人間関係がこじれたときに逃げ場がなさそうで…そこが一番不安です。

ただし、これにも回避策があります。複数のステーションを運営している大手や法人を選ぶことです。同じ会社の中にステーションが複数あれば、万一人間関係がこじれても「退職」ではなく「異動」という選択肢が残ります。実際、規模の大きい運営会社では、通える範囲の別ステーションへ移って働き続ける人は珍しくありません。人間関係に不安が強い人は、求人を見るときに「この会社は何ヶ所ステーションを持っているか」をチェック項目に加えてください。

見学や面接のときに職場の空気を確かめる方法は、記事の後半でお伝えします。

理由7:利用者さん・ご家族との距離が近い

生活の場に入る仕事なので、関係性が病棟よりずっと濃くなります。長く関わった利用者さんの看取りは、病棟の看取りとは違う重さがあります。何年も通った家で、ご家族とともに最期を見送る。病棟のように次の業務がすぐ流れてくるわけではない分、一人ひとりとのお別れがまっすぐ心に残ります。ご家族の介護疲れや家庭の事情に触れることも日常です。

とし とし

この「距離の近さ」は、訪問看護のやりがいの源そのものです。ただ正直に言うと、仕事とプライベートの感情を切り分けるのが苦手な人は、消耗しやすいのも事実。ここは自分の性格とよく相談してほしい部分です。

💡 まず、自分の安全を最優先に

病棟では患者さんが「アウェイ」にいるのに対し、在宅は利用者さんにとっての「ホーム」。同じ看護でも、対象者との距離感や空気感は大きく変わります。

こちらが心理的に安全な距離を保とうとしても、相手から近づいてこられることもあります。だからこそ、いざとなればすぐに退避できる距離・逃げ道(退避ルート)を確保しておくこと。何よりもまず、自分自身の安全を守ることを最優先にしてください。


やめとけと言われる7つの理由まとめ


それでも私が訪問看護を続けている理由

読者 読者

きつい理由がこんなにあるのに…としさんは、どうして訪問看護を続けているんですか?

ここまで読んで「やっぱりきつそう」と思ったかもしれません。全部本当のことなので、そう感じるのは正常です。

それでも私が訪問看護を続けているのは、看護に集中できる時間の密度が、これまで働いたどの職場よりも高いからです。

病棟時代は、ナースコールと記録と委員会に追われて、一人の患者さんとじっくり向き合えた実感が持てない日がたくさんありました。訪問看護は、その1時間、目の前の一人だけのために使えます。「病院では見えなかった、その人の生活そのもの」を支える手応えは、病棟では得られなかったものです。

私が病棟を飛び出した理由は、突き詰めると一つです。治療をすることではなく、その人の生活を守りたかったから。

助産師、看護師、産業保健師——いろいろな現場を経験する中で、ずっと考えてきた問いがあります。「満足した、より良い人生ってなんだろう」。医師に言われた通りの治療をこなすことが、本当に良いことなのか。それは、誰にとって良いことなのか。病院の中にいると、この問いの答えはなかなか見つかりませんでした。

私がたどり着いた答えは、「その人がその人らしく生活できることの支えになりたい」でした。だから地域へ出て、利用者さんの生活空間で、教科書通りにいかない毎日を試行錯誤しながら、看護を続けています。

とし とし

回り道してきた全部の経験は、利用者さんの家という「何でも起こる現場」で、いま全部活きています。遠回りしてきた人ほど強い職場——これが私の実感です。

正直に言います。こういう人は、今はやめておいた方がいい

ここは正直に、はっきり書きます。以下に当てはまる人は、今はまだ訪問看護に飛び込まない方がいいです。

⚠️ 今は飛び込まない方がいい4つのタイプ
  • 臨床経験が1年未満の人。 一人で判断する場面に、アセスメントの引き出しがまだ足りません。新卒・経験浅めを育てる体制のある事業所も増えていますが、数は限られます。まず病棟で基礎体力をつけるか、教育特化型の事業所に絞って探すべきです
  • 「病棟が嫌だから」だけが理由の人。 逃げ先として選ぶと、理由5の「外れ事業所」を引いたときに立て直せません。訪問看護の何に惹かれるかを一つでも言語化できてからが安全です
  • 曖昧な状況で判断するのが極端に苦手な人。 在宅は病院と違い、情報が揃わない中で「今どうするか」を決める場面の連続です
  • オンコールを一切受け入れられない生活事情があり、かつ「オンコールなし求人」を探す気力がない人。 探せばあります。でも探さなければ、高確率でオンコールありの事業所に当たります

逆に言えば、ここに当てはまらないなら、「やめとけ」の声にあなたが従う理由はありません。

向いているのは、こんな人

ひとつでも当てはまれば、素質があります
  • 一人の時間が苦にならず、自分のペースで仕事を組み立てたい人
  • 「治療」よりも「生活を支える」ことに看護のやりがいを感じる人
  • 分からないことを、自分から電話一本で聞ける人(これができれば「一人の不安」の8割は解決します)
  • 病棟・施設・外来など、複数の現場を経験してきた人(回り道は全部武器になります)

もう一つ、意外と知られていないことを付け加えます。訪問看護ステーションは「高齢者の在宅ケア」だけではありません。母子に特化したステーション、精神科に特化したステーションなど、専門分野を打ち出した事業所が増えていて、活躍しているのは看護師だけではないんです。母子特化型では助産師が、精神科特化型や地域密着型では保健師が、それぞれの専門性を活かして働いています。

とし とし

「助産師だから病院の分娩室しかない」「保健師の資格は行政でしか使えない」と思い込んでいる方にこそ、訪問看護は選択肢に入れてほしい働き方です。あなたの持っている資格は、在宅の現場でちゃんと武器になりますよ。

保健師・助産師としてのキャリアの広げ方については、保健師資格の活かし方でも詳しくまとめています。


訪問看護に向いているか3ステップで確認するフローチャート


「やめとけ」を回避する、事業所の見極め方

最後に、一番実用的な話をします。ここまで見てきた通り、「訪問看護がきつい」の実態の多くは、「きつい事業所を選んでしまった」ことが原因です。つまり、見極めさえできれば回避できます。

失敗しない事業所選びのチェックポイント

求人票でチェックする3点

  1. オンコール体制の具体性。 「オンコールあり」としか書いていない求人は要注意。「月◯回・手当◯円・翌日勤務調整あり」まで書いてある事業所は、労働環境を整えている可能性が高いです。ちなみに待機手当の相場は1回1,000〜3,000円程度(全国訪問看護事業協会の調査では1,000〜2,000円未満が最多)。これより極端に低い、または記載がない求人は比較材料にしてください
  2. 給与の内訳。 月給の総額ではなく、基本給がいくらか。インセンティブ込みの「モデル給与」に注意
  3. スタッフ数と設立年数。 極端に少人数(3〜4人)で設立間もない事業所は、一人あたりの負担とオンコール頻度が重くなりがちです

面接・見学で必ず聞くべき質問

  • 「入職後、一人で訪問を始めるまでの流れを教えてください」(同行訪問の期間と基準が明確なら安心材料)
  • 「オンコールは月に何回ほどで、実際に出動になるのはどのくらいの頻度ですか」(体感値を答えられる管理者は現場を見ています)
  • 「直近1年で退職された方は何人いますか」(答えをにごす事業所は察してください)

そして、見学の機会があれば、「職場の空気」を見てください。スタッフ同士の会話のトーン、忙しくても挨拶が返ってくるか、利用者さんの話をどんな表情で語るか。求人票には絶対に載らない情報が、こうした小さな場面に表れます。理由6でお伝えした「人間関係の振れ幅」を見極める、一番確実な方法です。

面接は「選ばれる場」ではなく「選ぶ場」です。この3つを聞いて嫌な顔をする事業所なら、入る前に分かってラッキーだった、くらいに考えて大丈夫です。面接でのやり取りについては訪問看護師・健診センター編の面接Q&Aもあわせてどうぞ。

一人で見極める自信がないなら

事業所の内部事情(離職率、オンコールの実態、管理者の人柄)は、求人票だけではどうしても分かりません。訪問看護に強い転職エージェントは、この「求人票に書いていない情報」を持っているので、見極めの精度を上げる道具として使えます。

エージェントの選び方と各社の特徴は、こちらの記事で詳しくまとめています。

訪問看護師の転職エージェントおすすめ5選|現役が教える失敗しない選び方

また、「そもそも訪問看護の働き方の全体像から知りたい」という方は、先にこちらをどうぞ。

訪問看護師への転職完全ガイド|病棟との違いとリアルな働き方

よくある質問

Q. 訪問看護師は本当にやめとけと言われるほどきついですか?

きつさの正体は主に「オンコール」「一人での判断」「事業所格差」の3つで、どれも実在します。ただし、オンコールなしの事業所を選ぶ、教育体制の整った職場を見極めるなど、職場選びで回避できる部分が大きいのも事実です。「訪問看護そのもの」より「事業所選び」で失敗している人が多い、というのが現役としての実感です。

Q. オンコールなしの訪問看護求人はありますか?

あります。オンコール免除の常勤、日勤のみのパート勤務、夜間対応を専門チームが担当する大手ステーションなど、形はさまざまです。ただし数は限られるため、「オンコールなし」を最優先の条件にするなら、求人サイトの検索だけでなく、転職エージェントに条件を伝えて探してもらうのが近道です。オンコール手当がつかない分、給与がやや下がる場合がある点だけ理解しておきましょう。

Q. 訪問看護に向いていないのはどんな人ですか?

臨床経験1年未満の方、「病棟が嫌」という消去法だけで選ぼうとしている方、曖昧な状況での判断が極端に苦手な方は、今は待った方がいいと考えています。逆に、一人の時間が苦にならず、生活を支える看護にやりがいを感じる方には、病棟より合っている可能性が十分あります。

Q. 40代・50代やブランクありでも訪問看護師になれますか?

なれます。厚生労働省の資料によると、訪問看護ステーションで働く看護師は40歳代以上が約7割。病棟より年齢層が高く、むしろ40〜50代が主力の職場です(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会資料「訪問看護(参考資料)」)。これまでの臨床経験や人生経験が、利用者さんやご家族との関係づくりにそのまま活きます。ブランクがある場合は、同行訪問の期間をしっかり取ってくれる事業所を選ぶことが大切です。

Q. 訪問看護師の給料は病棟より下がりますか?

日本看護協会の2024年度調査では、フルタイム看護師の平均税込給与総額は訪問看護ステーション勤務が約34.7万円、病院勤務が約38.2万円です。夜勤ありの病棟からの転職なら月3万円台下がるのが平均像ですが、基本給の差は6,000円ほどで、差の中身はほぼ夜勤などの手当分です。夜勤なし・残業少なめという条件を含めてどう評価するかは人それぞれ。オンコール手当やインセンティブの設計は事業所差が大きいので、求人票の基本給を必ず確認してください。

Q. 助産師や保健師でも訪問看護師になれますか?

なれます。母子特化型のステーションでは助産師が、精神科特化型や地域密着型では保健師が専門性を活かして働いています。訪問看護は看護師だけの世界ではありません。

まとめ:「やめとけ」の声より、自分の判断軸を

最後にもう一度、この記事の要点です。

「訪問看護はやめとけ」と言われる理由——オンコール、一人での判断、移動、給与の構造、事業所格差、濃い人間関係、利用者さんとの距離——は、どれも実在します。嘘ではありません。

でも、その多くは、「事業所選び」と「あなたとの相性」の問題であって、訪問看護という働き方そのものの欠陥ではありません。同じ特徴が、ある人には「きつさ」に、別の人には「病棟で失いかけた看護のやりがい」になります。

ネットの「やめとけ」は、顔も経歴も分からない誰かの体験談です。あなたの答えは、あなたの経験と、この記事で渡した判断軸で決めてください。回り道になっても大丈夫。まっすぐじゃないキャリアを歩いてきた私が保証します。

読み終えて「もう少し知りたい」と思ったら、次の一歩はこの2本からどうぞ。

訪問看護師への転職完全ガイド|病棟との違いとリアルな働き方

訪問看護師の転職エージェントおすすめ5選|現役が教える失敗しない選び方


参考資料

※統計データはいずれも、2026年7月の記事執筆時点で公表されている最新の調査結果です。