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転職したい気持ちはあるけれど、何を決め手にすればいいのか分かりません。給料も、夜勤も、人間関係も、全部気になってしまって…。
今回は、このような疑問にお答えします。
私はこれまで、何度か職場を変えてきました。そのたびに、こんなことを経験しています。
そこで今回は、私が転職の決め手にしてきたことと、優先順位のつけ方を、うまくいかなかったことも含めてまとめます。
✎ この記事で分かること
- 私が転職の決め手にしてきたこと
- やりたいことが見つからないときの、優先順位のつけ方
- 2つの職場で迷ったときの比べ方
- 入ってから「予想と違った」こと
- 決め手を、入る前に確かめる方法

✎ この記事の著者
とし|現役訪問看護師
看護師・保健師・助産師の3つの免許を持つ、現役の訪問看護師。助産師、病棟看護師、オーストラリアでのワーホリ、応援ナース、産業保健師を経て、今は訪問看護で働いています。
私が転職の決め手にしてきたこと
職場を選び直すとき、私が決め手にしてきたのは次の2つです。あわせて、この先の人口の変化も参考にしてきました。
やりたい看護の中身|どの分野でやっていきたいか
1つめは、どの分野で看護をしていきたいかです。
看護の仕事は、相手の年代でも、病気の時期でも、働く場所でも大きく変わります。一般的に、「やりたい看護」を考えるときは、次のような切り口があります。
相手の年代
例:小児・成人・高齢者
考えてみる:どの年代の人と関わっていたい?
病気の時期
例:急性期・回復期・慢性期・終末期(ホスピスなど)
考えてみる:治療の真っ最中を支えたい?暮らしに戻る時期を支えたい?
働く場所
例:病院・クリニック・訪問看護・施設・健診センター・企業
考えてみる:どんな場所で看護をしたい?
関わり方
例:治療を支える・暮らしを支える・病気を防ぐ
考えてみる:どんなときに、いちばんやりがいを感じる?
分野・診療科
例:内科・外科・精神科・小児科・産科など
考えてみる:もっと深めたい分野はある?
身につけたい力
例:処置や急変時の対応・話を聴く力・人と調整する力
考えてみる:数年後、どんな力をつけていたい?
私の場合、応援ナースとして働く中で、「自分はどんな看護がしたいのか」を考えるようになりました。それが、産業保健師への転職につながっています。
また、専門看護師のように、ある分野を深めたい気持ちがあるなら、その分野を学べる職場に行くのも一つの選び方だと思います。
夜勤のある・なし|心と体がついていけるか
2つめは、夜勤のある働き方を続けるかどうかです。
夜勤があっても心も体も問題なく働けるなら、夜勤を続けるのも良い選択だと思います。ただ、急性期・回復期・慢性期では、夜勤で求められる力がそれぞれ違うと感じています。同じ「夜勤あり」でも、職場によって負担は変わります。
夜勤をやめるなら、病院以外にも働く場所はたくさんあります。私が経験した職場(★)も含めて、代表的なものを並べました。
クリニック・外来
外来の診療の補助など。夜勤のない所が多く、求人も見つけやすい
確かめる:土曜の診療、昼休みの長さ
介護施設・デイサービス
暮らしを支える関わりが中心。日勤のみの求人もある
確かめる:早番・遅番やオンコールの有無
保育園・学校・企業の保健室
健康管理や応急手当が中心。日勤中心の職場もある
確かめる:休日と勤務時間、行事のある日の勤務
看護学校の教員
講義や実習の指導などを担当する
確かめる:実習期間の勤務の形(学校によって違う)
「夜勤なし」と書かれた求人でも、オンコールや早番・遅番があることがあります。それぞれの職場の働き方や求人の探し方は、次の記事で詳しくまとめています。
一方で、夜勤をやめると、夜勤手当がなくなる分、収入が下がる場合があります。私も夜勤をやめて体は楽になりましたが、やりくりは正直きつかったです。夜勤なしを決め手にするなら、転職前後の給料や手当を見比べて、収入がどれくらい変わるかを先に確かめておくことをおすすめします。
参考にしたこと|この先の人口の変化
決め手とまではいきませんが、訪問看護に移るときは、この先の日本の人口の変化も参考にしました。
統計を見ると、日本はこれからも少子高齢化が進みます。内閣府の高齢社会白書(令和8年版)では、2025年10月時点で65歳以上の人の割合は29.4%。2070年には、2.6人に1人が65歳以上になると見込まれています。
国の方針を見ていくと、医療や介護のどこに力を入れようとしているかが分かります。たとえば厚生労働省は、高齢の方ができる限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体で届ける仕組み(地域包括ケアシステム)づくりを進めています。
ここからは、私個人の考えです。医療や看護を必要とする高齢の方は、これからも増えていくと考えています。高齢の親を支える家族への支えも、大切になっていくと思っています。ただ、こうした動きだけで、求人が増えるかどうかや、自分に合う仕事かどうかまでは判断できません。興味のある分野を考えるための、参考の一つとして見ています。
私自身も、決め手の重さは少しずつ変わってきました。いろいろな病院・施設・働き方に触れるうちに、「ここじゃなきゃやっていけない」という思いが小さくなり、「どこにいたってやっていける」と思えるようになりました。
優先順位のつけ方|やりたいことより「嫌なこと」から書き出す
決め手を考えるとき、よく「やりたいことを書き出しましょう」と言われます。でも私は、やりたいことは見つけにくいと感じていました。
やりたいことは浮かばなくても、嫌なことなら、すぐにいくつも浮かびませんか? 私はいちばん初めの転職のときから、そこから次の職場を考えてきました。
そこで私がやったのは、嫌なことから書き出す方法です。メモアプリや紙に手書きで、思いつくままに書いていきます。
私が書き出していたこと(例)
- これが嫌だ
- この生活はもうやめたい
- この人と一緒に働くのは嫌だ
書き出したら、それを一つずつつぶして、この嫌なことが無い生活を実現するにはどうしたらいいかを考えました。たとえば「夜勤をもうやりたくない」なら、産業保健、デイサービス、夜勤のない施設が選択肢に入ってきます。嫌なことがはっきりすると、応募先を選ぶ範囲が自然としぼれていきました。
「嫌なこと」から優先順位を決める5つの手順
私のやり方をもとに、これから転職を考える方が真似しやすい形に整理しました。紙1枚あれば、今日から始められます。
嫌なことを書き出す
仕事の内容・働く時間・人間関係・生活など、思いつくまま全部。きれいに書かなくて大丈夫です。
重さで3つに分ける
「絶対に避けたい」「できれば避けたい」「がまんできる」に分けます。
求人で確かめられる条件に置き換える
職場の種類、夜勤の有無、残業、通勤の時間など。夜勤が負担なら勤務時間や残業も、休みの日の連絡が気になるならオンコールの有無や連絡の決まりも見ます。ここがいちばん大事なところです。
やりたいことがあれば足す
分野や、挑戦したいことが見つかったら加えます。見つからなくても大丈夫です。
求人票と面接で確かめる
避けたいことが本当に無いかを、入る前に確かめます。
やってみよう|嫌なことを◯✗でチェック
まずは手順1から。よくある「嫌なこと」を並べたので、今の仕事に当てはまるものに◯を付けてみてください。◯を付けると、次の職場で確かめたい条件が出てきます。
今の仕事の「嫌なこと」◯✗チェック
当てはまるものに◯、当てはまらないものに✗。答えはどこにも送られず、保存もされません。
ここにない嫌なことも、思いついたら紙やメモアプリに書き足してください。
書き出しの例
2〜3の手順は、「嫌なこと」「重さ」「確かめる条件」を並べて書くと整理しやすくなります。中身は例なので、自分の言葉で埋めてください。
夜勤で体がもたない
絶対に避けたい
確かめる条件:夜勤の有無、勤務時間、残業
休みの日も職場の連絡が気になる
できれば避けたい
確かめる条件:オンコールの有無、休みの日の連絡の決まり
職場の人間関係がつらい
できれば避けたい
確かめる条件:スタッフの人数や雰囲気(見学や担当者を通して)
通勤に時間がかかる
がまんできる
確かめる条件:通勤の時間、交通手段
嫌なことばかり書いていると、後ろ向きな転職にならないか心配です。
嫌なことは、自分が大事にしたいことの裏返しでもあります。「これが嫌」が分かると、「こういう働き方がしたい」が見えてきました。後ろ向きというより、自分を知る作業だと思っています。
2つの職場で迷ったときの比べ方

正直に言うと、私は2つの職場の間で強く迷った経験はあまりありません。強いて言うなら、比べていたのは次の順番です。
- 自分のやりたいこと・やりたくないことと、合っているか
- それがどちらも同じくらいなら、給料や通勤の距離で選ぶ
ただ、これは私の場合です。給料や夜勤など、人によっては絶対に譲れない条件もあります。比べるときは、まず絶対に譲れない条件を満たしているかを確かめてください。そのうえで、やりたいことと合うか、給料、通勤、夜勤やオンコールの負担を比べてみましょう。
迷ったときは、候補の2つの職場を表に並べて、◯(よい)・△(気になる)・✗(合わない)を付けてみると、違いが見えやすくなります。たとえば、「夜勤なし」が譲れない人が、訪問看護とクリニックで迷っている場合は、次のようになります(中身は例です)。
| 比べること | 訪問看護 | クリニック |
|---|---|---|
| 夜勤なし(譲れない) | ◯ | ◯ |
| やりたいこと | ◯ | △ |
| 避けたいこと | △ オンコール | ◯ |
| 給料 | ◯ | △ |
| 通勤 | △ | ◯ |
この例なら、譲れない条件はどちらも満たしています。暮らしを支える看護がしたい気持ちが強ければ訪問看護、休みの日の連絡を避けたい気持ちが強ければクリニック、というように、自分がより大切にしたい条件で選びます。自分の候補でも、同じように並べてみてください。
入ってから「予想と違った」こともある
決め手を考えて選んだ職場でも、入ってから予想と違ったことはありました。
決め手をどれだけ考えても、入ってみないと分からないことはあります。だからこそ、入る前に確かめられることは、確かめておくのが大事だと感じています。一般的には、次のようなことを面接などで確かめておくとよいといわれています。
- 配属先はいつ、どのように決まるか
- 希望の配属先にならない場合はあるか
- 一緒に働く人数や、教えてくれる人がいるか
決め手を、入る前に確かめる方法
配属先や職場の雰囲気は、求人票だけでは分かりにくいところです。私が訪問看護に転職したときは、転職サイトの担当者に、次のことを確かめてもらいました。どれも、入る前に決めるときの判断材料になりました。
ただし、「オンコールを断れるか」の答えは「勤務については事業所のスタッフと相談」で、入る前に確約されたわけではありません。担当者を通して確かめられることと、入ってから職場で相談が必要なことは、分けて考えるのが大切です。
自分で直接確かめたいこと:配属や勤務の決まり方、入ってからの相談のしかた(面接や見学で)
自分では聞きにくいことを、担当者を通して確かめられる場合があるのは、転職サイトを使うよさの一つです。私が訪問看護への転職で使ったのは、レバウェル看護です。
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ほかのサービスも含めて、目的別に比べたい方はこちらにまとめています。
やめておいたほうがいい決め方
ここまでの経験から、次のような決め方は、あとで後悔しやすいと感じています。
- 給料だけで決める:収入は大事ですが、働き方が合わなければ長く続けるのは難しくなります
- 今の嫌なことから逃げることだけを考える:次の職場に、別の嫌なことが無いかを確かめないまま決めてしまう
- 人に勧められたからで決める:自分の嫌なこと・やりたいことと合っているかを、自分で確かめていない
嫌なことから書き出すのは、今の職場を離れるかどうかを考えるときにも、次の職場を選ぶときにも役立つ方法です。自分が避けたい条件を整理して、次の職場で同じ悩みを抱える可能性を減らすために使ってみてください。
今の私なら、何を一番に置くか
もし今また転職するとしたら、私は看護師以外の仕事も含めて、やってみたかった仕事に挑戦することを一番に置くと思います。
いろいろな職場を経験して、「どこにいたってやっていける」と思えるようになったからこそ、選べる幅が広がったと感じています。看護師の資格を活かす道もあれば、まったく違う仕事に挑戦する道もあります。
よくある質問
やりたいことが分からないまま転職してもいいですか?
給料と働きやすさ、どちらを優先すべきですか?
夜勤をやめると、収入はどれくらい変わりますか?
2つの職場で迷って決められません。
入ってから「思っていたのと違う」と感じたらどうすればいいですか?
まとめ|決め手は「嫌なこと」の裏側にある
転職先の決め手は、人によって違います。私がこれまで重視してきたのは、やりたい看護の中身と、夜勤のある働き方を続けるかどうか。この先の人口の変化も、参考にしてきました。
やりたいことが見つからないときは、まず今の仕事で嫌なことを書き出してみてください。避けたい条件を整理すると、次の職場を選ぶ基準が見えてきます。
まずは、次の3つから始めてみてください。
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私が未経験から産業保健師に転職したときの記録は、産業保健師に未経験・33歳から転職した話に書いています。夜勤のない職場を探したい方は、看護師が夜勤なしで働く方法もあわせてどうぞ。
出典・参考
- 高齢化率29.4%(2025年10月1日時点)・2070年に2.6人に1人が65歳以上:内閣府「令和8年版高齢社会白書」(2026年10月17日確認)
- 地域包括ケアシステム(住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで):厚生労働省「地域包括ケアシステム」(2026年10月17日確認)
